これから離婚する予定のある方や、すでに離婚された方。心配なのは養育費の事ではないでしょうか。この先子供が大きくなるまでちゃんと養育費を払ってもらえるのか、ご心配なことと思います。養育費は、子どものためのものであり、貧困を次世代に引き継がないために重要なものです。今回は、養育費の不払いを根絶するための各自治体の取り組みをご紹介します。

火付け役は明石市

明石市は、養育費不払い根絶の制度に力を入れている自治体です。全国で報道されたので、ご存知の方も多いでしょう。離婚や別居に伴う養育費や面会交流などを「明石市こども養育支援ネットワーク」として支援しています。その一つが、「養育費立替パイロット事業」です。明石市が委託した保証会社が、養育費の保証を行ってくれるという仕組みです。今までは、養育費の不払いが起こったら元配偶者に直接取り立てるしかなかったのですが、保証会社を利用すると保証会社が元配偶者の代わりに養育費を支払います。その代わり、保証会社が元配偶者から養育費を取り立てるという仕組みです。https://www.city.akashi.lg.jp/seisaku/soudan_shitsu/kodomo-kyoiku/youikushien/youikushien.html
大阪市の場合は、「養育費の保証促進補助金」として事業が展開されています。
https://www.city.osaka.lg.jp/kodomo/page/0000468039.html

不払いの根絶になるか?

保証会社から取り立てがあるとなれば、不払いを起こさないようにしようと考えるかもしれません。また、保証会社が保証契約を締結するにあたっては公正証書として養育費に関する契約を書面に残すことが多いです。つまり、そもそも口約束ではありません。
結果として、養育費の不払いを防止し、万が一不払いが起こったとしても、きちんと取り立てが行われます。その間、不払い分の養育費は保証会社から受け取ることができます。今までは、養育費を数回支払ったら逃げてしまう、ということもできたかもしれませんが、今後は逃げ道がなくなることになります。養育費を受け取る側の多くは、残された子どもを育てるので手一杯ですので、満足に取り立てもできなかったのではないでしょうか。
専門業者による取り立ては、養育費を受け取る本人からの取り立てとは比べ物にならないくらい本格的ですので、逃げようがないと思われます。

滋賀県湖南市でも同様の取り組みが始まりました

滋賀県湖南市では、「養育費の保証促進補助金と養育費に関する公正証書等作成促進補助金について」という事業が去年からスタートしています。仕組みとしては大阪市と類似していて、保証契約の初回分の保証料と養育費を取り決める際に必要な公正証書等の作成に係る諸費用の助成を行っています。
https://www.city.shiga-konan.lg.jp/topics/12432.html

離婚協議書を公正証書にしよう

慰謝料は一回限りの支払いで終わるかもしれませんが、養育費は長きに渡って支払われるものです。その間、元配偶者に何があるかわかりません。口約束でも契約は有効ですが、問題はその契約が確かにあったのかという証拠能力が怪しいということです。口約束は、後からなんとでも言い訳されてしまう可能性があります。
これから離婚される方、あるいは離婚されたばかりの方は、離婚協議書を公正証書にしてはいかがでしょうか。基本的には、離婚前に作成するのが主流です。約束が守られなくなってからでは遅いのです。

まとめ

残念ながら、養育費の不払いは、社会問題になる程、実はよくある話です。結果として子どもの貧困に繋がってしまっているという悲しい現実があります。
離婚するということは、お二人はこれから他人になるということです。他人同士の公式の約束として、離婚協議書を残し、公正証書にした上で、保証会社を利用するというのが安心です。明石市、大阪市、湖南市にお住いの方限定になってしまいますが、自治体の助成を利用するというのも賢い方法です。

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