ここ数日、私が気になっているのは、新型コロナで影響を受けたフリーランスへの何らかの救済措置があるかないかということです。フリーランスは結局のところ個人事業主で、労働者に入るのかどうか?以前からかなり疑問に思っておりました。
フリーランスと言っても色々すぎる
今回、新型コロナ関連で日本全体の企業が打撃を受けているでしょう。また、子どもの休校措置で仕事を休まないといけなくなったりなど、子どもがいる家庭については、特に月給でもらっている人以外は所得の減少という形で影響が出ているのではないでしょうか。
私は、収入に影響を出すまいと必死に頑張ってはおりますけれど・・・ただどちらかというと発注企業がキツくなって、これから契約数が減るのではというところの方が怖いです。
フリーランスは労働者なの?
フリーランスには、雇用保険がありません。というのも、フリーランス=小規模事業者の一番小さいバージョンと考えると、労働者ではなく経営者ですので。雇用されていると考えると合わない部分が出てきます。
もっとも、フリーランスとその他の雇用形態を兼業して、雇用保険に入るということはできます。その際は、失業保険の受給時にはフリーランスで得ている収入も差し引きして失業保険受給という形になります。
委託で働く個人は労働者に近いかもしれない
現実には、社員やパートを雇って行わせる業務と同じ業務を外注という形で、フリーランスに委託している場合もあります。その場合は労働者に近い存在になります。
*同じ業務をパートにさせるのか、フリーランスにさせるのかで給料・委託料が違う上に、社会保障も変わってくる・・・ということで、社内でパートとフリーランスが揉めまくってプロジェクトが解散した事例も私は知っていますが。つまり、フリーランスは皆専門技能があって、立場が強い人ばかりではなく、パート社員と同じような業務でを業務委託として外注している場合もあるということです。私がみたケースでは、場所以外は労働者に近い働き方ですが、契約は業務委託でした。
さて、本題に戻りますが、フリーランスはコロナ関連の救済策のどこに入るのか?ということです。
そちらもご覧ください。https://kazukiyo.jp/?p=467
フリーランス向けの救済策
休校措置関連 フリーランス向けの助成金(もらえるお金)
政府が発表した「新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策 -第2弾-(ポイント)」という資料の中の、「(2)学校の臨時休業に伴って生じる課題への対応」には、
・正規・非正規を問わない新たな助成金制度の創設(10/10、日額上限8,330円)
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/novel_coronavirus/th_siryou/kinkyutaiou2_gaiyou_corona.pdf
・委託を受けて個人で仕事をする方も支援(一定の要件を満たす方:日額4,100円)
と記載されており、雇用されている人の半額ではありますが、救済措置がなされることになりました。なぜ半額なのか?というところは国会でもネット上でも議論になっているところです。働き方を問わず保証するとなると、フリーランスももちろん入るということになるのでしょう。
●対象者
https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000606357.pdf
①又は②の子どもの世話を行うことが必要となった保護者であって、一定の要件を満たす方。
① 新型コロナウイルス感染症に関する対応として臨時休業等した小学校等(※)に通う子ども
※小学校等:小学校、義務教育学校(小学校課程のみ)、特別支援学校(高校まで)、放課後児童クラブ、幼稚園、保育所、認定こども園等
② 新型コロナウイルスに感染した又は風邪症状など新型コロナウイルスに感染したおそれのある、
小学校等に通う子ども
●一定の要件
・個人で就業する予定であった場合
・業務委託契約等に基づく業務遂行等に対して報酬が支払われており、発注者から一定の指定を受け
ているなどの場合
●支援額:就業できなかった日について、1日当たり 4,100円(定額)
●適用日:令和2年2月27日~3月31日
※春休み等、学校が開校する予定のなかった日等は除く。
ただ、こちらの支援は子どもの休校措置で休んだ保護者向けの話なので、新型コロナの煽りを受けて不況に陥ってしまったフリーランス向けの制度ではありません。
フリーランスも利用できる貸付制度
「⽇本政策公庫による特別貸付」の制度ができました。以下の資料が発表されています。新型コロナ関連で収入が減ってしまって困っているフリーランス(子どもの有無問わず)は、こちらの貸付を利用できます。
制度開始時期︓ 1⽉29⽇(相談窓⼝設置⽇)まで遡及
https://www.meti.go.jp/main/yosan/yosan_fy2019/pdf/20200310_01.pdf
適⽤要件︓ 売上⾼▲5%
※個⼈事業主(フリーランスを含む)には、影響に関する定性的な説明でも可。
貸付額︓ 中⼩事業3億円、国⺠事業6千万<別枠>
⾦利︓ ⼀律⾦利から▲0.9%
利下対象上限︓ 中⼩事業1億、国⺠事業3千万 ※当初3年間
フリーランスを含む個⼈事業主、売上⾼が急減している 中⼩・⼩規模事業者について、実質的に無利⼦化されます。必要があればこちらの貸付制度の利用も検討してみてもいいかもしれませんね。
フリーランスの社会保障について考える
この際、フリーランスの社会保障についてきっちり議論した方がいいと思います。私は個人的に以前からフリーランスの社会保険について、特に労働者に近い存在の人たちについては整備した方が良いのではと申し上げてきました。そのような現場を直でみてきた経験があるからです。
具体的に言えば、雇用保険に近い公的な保険など、あったら良いのではと思います。不要な人もいると思うので、任意加入という形になるでしょう。
フリーランスに社会保険が必要な理由
というのも、多様な働き方や女性活用の一環でフリーランスを政府は推していますが、その女性というのは従来パートで働いたり、育児などで細切れの時間しかなく働けなかったりする女性たちではないでしょうか。
彼女たちは、自営業者としてのリスク全てに備えられるわけではありません。さらに、特殊技能を全ての人が持っているわけではありません。また、そもそも資力が弱い存在であると考えると、今回の新型コロナの件含めリスクを背負うのは難しいです。したがって、何らかの社会保険が必要かと思います(統計データで裏付ければ良いのですが、今そこまで時間がないのでできません)。
自分でリスクに備えられる人については保険は不要でしょうけれど、労働者に近いフリーランスには必要です。
フリーランスも安心して働ける環境整備を誰が負担するか
企業としては社会保険料の負担を避けたいでしょうし、必要な時だけ活用できるフリーランスはとてもありがたい存在です。
企業にとっては女性が働く環境を整備するより、フリーランスに外注した方が安いので、結局のところ環境が整備されずにフリーランスとして働かざるを得ない女性が増え、社会保険に入りたくても入れない、自分でリスクに備えるのは資力が弱くて無理となると・・・本末転倒だなと思っています。非正規雇用が増えるのと似たような現象が起きるのではないでしょうか。
多様な働き方を政府が推進していることもあり、フリーランスが安心して働き、生活していくための環境整備やリスクを全て個人の責任にするというのは疑問です。何らかの形で、社会で分担していく方法を探った方が現実的ではないでしょうか。